署名と公告式2〜署名と原本
先方「合併して、以前の庁舎を支庁にしているのですけれど、公告の方法を掲示場への掲示をもって行う場合は、支庁の数だけ署名しなければいけないんでしょうか」
私「署名は公布する条例の確定のためなんで、掲示するもの自体が原本である必要はないと思いますよ」
(略)
この場合、長は、条例の原本を作り、署名することとなるのであるが、公告式条例により、掲示場に掲示して公布を行うこととされている場合は、もともと原本そのものを掲示することは不可能であるので、写をもって掲示場に掲示すれば足りるものと解される。(後略)
「地方自治質疑応答集(加除式書籍)」253頁(第一法規)※強調はkei-zuによる。
署名されたものの掲示については、天野巡一教授(青森公立大学)による以下の指摘もあります。
公布する条例には首長が前文に署名して告示するが、首長の自著した前文が掲示されている間に紛失することをおそれるあまり、その前文を複写して掲示場に掲示している自治体がある。このケースは、外見上は適正な公告ではあるが、自治法及び公告式条例は長の自著した前文を掲示することを要件としている以上、適式な公布とはいえず、条例の効力そのものに影響してくることもあるのではないか。
「判例解説 自治体政策と訴訟法務」142頁(学陽書房)※強調はkei-zuによる。
しかしながら、公報に掲載される場合は、首長のお名前の掲載は活字によることになるでありましょうし、署名を公布のための確定として捉えるのであれば、原本の掲示までが法や条例で要請されているとまでは言えないのではないでしょうか。
官報における御名御璽だって、ねえ。