自治体法務の備忘録

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耐震偽装で愛知県の責任認める 名古屋地裁

 いささか旧聞に属しますが、先月24日、愛知県が建築確認を行った耐震強度偽装事件について、判決要旨が報道されていました。なお、判決文自体は、ウェブ上では確認できないようです。

 建築主は建築物の安全性に一義的な責任を負うが、通常は専門家でないため建築士の関与が不可欠。また建築士は建築主の特定の利益に配慮する必要がある。一方で県など自治体の建築主事は、公務員としてもっぱら基準との適合を検討すればよく、経験を蓄積できる立場でもあるから、危険な建築物を出現させない最後のとりでといえる。建築主事には高い信頼に応える一定の注意義務がある。
(略)
 十―二階の耐震壁が法令基準の四割程度しか耐震強度がなく、一階に耐震壁がない構造は設計指針に反し、一階の柱などの強度、剛性が不十分なこのホテルは技術的基準に反する。大災害の教訓が生んだ重要な注意事項に十分な留意が必要だが、建築主事は注意義務を怠った。国家賠償法上の違法性と過失がある。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902250054.html