自治体法務の備忘録

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6月賞与に係る給与条例の附則

 ご承知のとおり、6月賞与に係る給与条例の改正についての記事が、ウェブを賑わせています。
 そして、その中で議論になっていたのが「内容をザックリ言うと、期末・勤勉手当の暫定割合と、期末・勤勉手当の通常の割合の差について、人事院は、改正法の施行後、速やかに調査して、勧告すべし、という内容」*1の附則の取扱いについてでした。
 既に、

【kinkinさん】
 これに対する私の回答は、「規定する必要はない」です。
http://kinkin2.blog42.fc2.com/blog-entry-301.html

【半鐘さん】
特別勧告に係る条例改正についてですが、今後措置すべしとの附則をつけることは、原課も私も、全く考えていませんでした。
うーむ、あれは、悩むところだったのか。(←なんとお気楽な)
http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-141.html

【tihoujitiさん】
個人的には
 不要である
 と考えています。
 理由は簡単、
 当たり前だから
 です。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20090516/p1

と、あらかた結論は出ていますが、同附則の例に準じた準則提示前、当初法案の提示時に、人事委員会を持たない自治体では、いかなる規定ができるかと、ちょっと考えてはみておりました。

(期末手当及び勤勉手当に係る人事院の勧告等)
2 平成21年6月の期末手当及び勤勉手当を次の表の左欄に掲げる規定により算定することとした場合における当該規定に規定する割合とそれぞれ同表の右欄に掲げる規定によりこれらの手当を支給する際に現に用いられる当該規定に規定する割合との差に相当する割合に係るこれらの手当の取扱いについては、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第3項の規定により、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(平成21年法律第  号)附則第2条の規定による勧告の内容を考慮するものとする。
※強調部分が法案と異なる箇所です。

 ご参考まで、国会に上程された法案はこちら(該当部分は9頁)→http://www.soumu.go.jp/main_content/000022038.pdf
 ウェブの記事ですと、しやくしょ法務さんの記事における該当部分の引用が読みやすいです。
【平成21年6月の期末・勤勉手当の暫定凍結措置←に対する附則による再調整の勧告等】http://tkys.txt-nifty.com/blog/2009/05/post-83f2.html
 なお、上記の私の検討案で引用されている地方公務員法の規定の内容は以下のとおり。

(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第二十四条 (略)
2 (略)
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
4〜6 (略)

 書いてみると、上記のtihoujitiさんのお言葉ではありませんが、誠に「当たり前」な内容になってしまいますね。
 実は、当初法案が自治体に示された際に、kinkinさんとメールでやりとりした内容が上記の旨でありました(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090513/p1)。
 氏のブログではご自身によるコメントとして、

私は、最初、当該附則の規定を市ではどういう書きぶりにしたら良いのかと頭を捻りましたが、良い方法が思いつきませんでした。
準則より良い案を某氏からご提案頂き、それを隠し持って例審に臨んだのはkei-zu様と私の二人だけの秘密(の一つ)です(笑
http://kinkin2.blog42.fc2.com/blog-entry-302.html#comment

と掲載されていらっしゃいますが、結局、氏が記述の不要の旨をご判断されたのは前述のとおりです。
 それにしても、昨今の自治法制執務を巡る事態は、もうあまり経験したく無いことばかりですな。

*1:tihoujitiさんの要約による。