自治体法務の備忘録

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「芸術の秋」なんて言いますが

 めっきり秋めいてきましたね。確かに、この季節、美術館に行きたくなります。
 絵を見るのは好きなのですが、残念ながら書く方の技量がありません。したがって、絵画の技術的な説明よりは、時代的な背景や「なんでそんな絵ができたのか」という製作の舞台裏に興味があります。
 そんな私がおもしろかった本で、最近刊行されたものをいくつかご紹介しましょう。

怖い絵

怖い絵

 図書館にリクエストしたら半月ほど待たされたので、それなりに人気が有るのではないかな。第3巻まで続刊が出ています。
 内容は、といえば、「怖い」と言っても流行りの都市伝説の類ではなく、西欧名画に秘められた「恐怖」への言及。
 ドガの踊り子が実質的な娼婦であった時代背景の説明や、ゴヤが描かざるを得なかった我が子を喰らう神、ベラスケスが王女の肖像に併せて描く侏儒、ピカソが芸術的動機とした女性遍歴などなど。
絶頂美術館

絶頂美術館

 なんだか随分なタイトルですが、内容は、日本における印象派の人気で脚光を浴びることの少ない、当時の画壇の中心であった、アングルなど新古典主義の画家達の魅力が存分に語られます。
 なるほど彼らにとって、印象派の台頭が許せなかったはず、と理解できます。マネの「草原の昼食」が嫌悪感をもって否定された一方で、遙かにエロチックな「ビーナスの誕生」(本書の表紙)が評価された事実も興味深い。
名画の秘めごと 男と女の愛の美術史

名画の秘めごと 男と女の愛の美術史

 こちらは、絵画の背景にある、男女の艶っぽいエピソードの紹介。いくつかは「怖い絵」シリーズとも重なりますが、立体的に知識が得られて楽しい。
名画の言い分 数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」

名画の言い分 数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」

 ギリシャ美術から近代の絵画まで、美術史を1冊で語ってしまおうと聞くと、どれだけ大味なものになるかと躊躇しますが、著者の語り口で無理を感じさせません。
 最近、「巨匠たちの迷宮-名画の言い分」という続刊もでました。
知識ゼロからの西洋絵画入門

知識ゼロからの西洋絵画入門

 著者はテレビのコメンテーターとしても有名。絵画にも詳しいんですね。時代の変遷に併せ、代表的な絵画をわかりやすく解説します。カラーが多いのが嬉しい。
「世界の名画」隠されたミステリー (ビジュアル+好奇心!BOOKS)

「世界の名画」隠されたミステリー (ビジュアル+好奇心!BOOKS)

 ムックだとこの本が読みやすい。大判なので、上記「知識ゼロ〜」での不満がありません。
迷宮美術館 アートエンターテイメント

迷宮美術館 アートエンターテイメント

 こちらもムック。NHK人気番組の書籍化です。現在、第5巻まで刊行さてれいます。
 テレビ版は未見ですが、本書を見る限り、CGを利用した絵画の加工や、実証的な再現などが他ではあまりお目にかかれません。
 
 なんか、いい展覧会、やってないかなぁ。