執行機関の幹部職員への議員登用の可否
最近の自治法の改正を巡る論議について、上記の会合でご講演された江藤俊昭先生のご指摘が興味深いものでありました。
山梨学院大の江藤俊昭教授が、議会改革を取り巻く最新の動向を講演。政府の地方行財政検討会議で議論が始まった「議員の幹部職員への登用」について「首長による議会の抱え込みであり、従来の総与党化を公式に肯定してしまうのではないか」と疑念を呈した。
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/02/20100214t61013.htm
※強調はkei-zuによる。
二元代表制の特性として、執行機関と議決機関のチェックアンドバランスが要請されるところ、現在は、例えば執行機関の附属機関の構成員に議員が任命されることについて、否定的な見解が主流であるかと思います。
議会は普通地方公共団体の意志を決定する機関であり、執行機関はその決定された意志を実現する機関として位置付けられている。(略)
このような理解のもと、附属機関があくまでも執行機関の附属機関であり、その機能が執行機能の一部であると考えられることにかんがみると、附属機関に意志決定に意志決定機関たる議会の構成員である議員が加わることは適当でないと思われる。
(35ページ)
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附属機関の構成員についての行政実例によると、まず、議員を附属機関の構成員として加えることの可否については、違法ではないが、適当ではないとしている(行実昭和28年1月21日・自行行発第16号)。
(略)
このことから、同法は議会を議決機関、執行機関をその意志を実行する機関として位置付けていることが確認できる。
このことを前提とすると、附属機関が執行機関の一環をなすものであるという性格から、附属機関に議決機関の構成員である議員が加わることは適当でないと考えられる。
(89ページ)
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上記の引用で省略した部分には、自治法96条1項に制限列挙される議決事項を根拠とする解説ですので、確かに自治法自体が改正されれば、その役割が拡大されるべき解釈はあろうかとは思います。また、国の「大臣」はそうじゃないの?という指摘もあるでしょう。
しかしながら、国の議員内閣制と自治体の二元代表制は、その性格を異にするものであり、「直接選挙に基づく首長に『与党』はあり得ない。首長は議会全体に監視される立場だ」という指摘もあったはず。江藤先生のご講演には、そのような点がご念頭にあったのではないでしょうか。
いずれにせよ、法改正に当たっては、十分な検討と議論が望まれるところかと思います。