自治体法務の備忘録

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公務員志望者がやって来た

 市役所の仕事について、市民向けにわかりやすく書かれた資料がないかと、年頃のお嬢さんが訪問されました。
私「えーと、統計資料とかじゃないんですよね。目的はどういったもので?」
先方「私、大学生で公務員志望なんですけど、市役所の仕事の内容ってどんなものがあるのかな、って」
 ほーお、ほう。
先方「大学の先生に聞いたら、近くの市役所に行って資料を貰ってみたら、ということだったんです」
 熱心で心強いなぁ、と思いながら、
私「ええと、ね。市役所の仕事って幅広いし、市のホームページに掲載される、各課の説明以上に詳しい資料は無いなぁ。でも、その内容にしても、サービスを受けようとする市民向けの記述だから、職員の仕事内容についてわかりやすく説明されたものではないね」
先方「何か、参考になる書籍とかありますか?」
私「うーん、組織構成は自治体ごとに違うしね。公務員試験の受験誌『受験ジャーナル』とかに、実務に携わる方々のインタビューが掲載されているから、そういうところから興味を持っていただければ。公務員と言っても、いろいろ職種も多いしね」
先方「そうなんですか…」
 とりあえず、と例規に定める各課事務分掌の一覧をコピーして差し上げました。
私「逆に言えばね、これ一冊で十分、このとおりやればOK、っていうテキストがない世界を、これから君は歩いていく。当たりを付けて試行錯誤の上で、判断していくのが『社会人』なんだよ」
先方「はい」
私「市のホームページや今日渡した資料を見て、興味を持った部署があれば訪ねてごらん。負担にならない範囲内で、仕事内容の説明をしてくれる職員の人はいると思う」
先方「わかりました」
 そこで、彼女は、ぐっと顔を上げて私に聞きました。
先方「kei-zuさんは、どうして公務員のお仕事を選んだんですか?」
私「僕はね、民間企業出身なんだけど、前職と比べると5年後、10年後の未来を語れるのが楽しい。あと、地域の方々の中に飛び込む『まちづくり』は、やりがいの実感がある仕事だよ」
先方「そうなんですか」
私「今の時代、楽をしようと公務員になっちゃいけない。少ない人数で仕事を回さないといけない現状があるからね。一方、分権推進で、仕事が増えるばかりか、判断基準を自らが作り出さないといけない要請がある」
先方「大変そうですね」
私「だからこそ、そこに『やりがい』を見いだす人が公務員になって欲しい。君がどこを受験するにしても、そこに動機を見つけるのなら、本当に頑張ってね」
 ありがとございました、の言葉を残して、彼女は去っていきました。
 あぁ。年取ると説教臭くなっていけませんやね。