判例を学ぶ(新版)
- 作者: 井口茂,吉田利宏
- 出版社/メーカー: 法学書院
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
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仕事柄、法令や判例の読み方に関する書籍はたくさん読んできましたが、『判例を学ぶ』のように「スキル」を超える「ハート」を伝えるものにはなかなか出会えませんでした。いつか、「こんな本を書いてみたい」、本気でそう思ったものです。
読者として新版を待つ身でしたが、著者の井口茂先生が93年に亡くなられ、その思いもむなしいものとなりました。そうしたなか、法学書院様より『判例を読む』を補訂し、再び世に出すよう任を与えられました。井口先生の30年もの後輩にどの程度のことができるか大いに不安でしたが、新しい読者に書籍を届ける日を夢見ながら執筆作業を進めました。
「新版 はしがき」より
残念ながら、私は旧版を存じていなかったのですが、吉田氏が強調される「ハート」は新版において健在です。序論が江戸時代の大岡裁きから幕を開け、巻末の実践編でも「不貞の抗弁」や「偽装心中」などが取り上げられることから、なんとなく雰囲気はお察しいただけるでしょうか。
そもそも「判例」、いや、「法律」というものは、どうしようもなく「人間くさい」ものです。その「ハート」のあり方の、時代による変遷も、解説の中で興味深いところ。
それにしても、何気なく読み進めるうち、ひょいと「インターネット」などの言葉が文中に飛び出し、あらここは補訂部分なのね、とあらためて気がつくのは、新版が旧版の「ハート」を継承している証左でしょう。
ご興味ある方はご一読ください。