自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

判例を学ぶ(新版)

判例を学ぶ―判例学習入門

判例を学ぶ―判例学習入門

 「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術」の吉田利宏氏の新刊。とはいっても、このたびは補訂の著作でいらっしゃいます。

 仕事柄、法令や判例の読み方に関する書籍はたくさん読んできましたが、『判例を学ぶ』のように「スキル」を超える「ハート」を伝えるものにはなかなか出会えませんでした。いつか、「こんな本を書いてみたい」、本気でそう思ったものです。
 読者として新版を待つ身でしたが、著者の井口茂先生が93年に亡くなられ、その思いもむなしいものとなりました。そうしたなか、法学書院様より『判例を読む』を補訂し、再び世に出すよう任を与えられました。井口先生の30年もの後輩にどの程度のことができるか大いに不安でしたが、新しい読者に書籍を届ける日を夢見ながら執筆作業を進めました。
「新版 はしがき」より

 残念ながら、私は旧版を存じていなかったのですが、吉田氏が強調される「ハート」は新版において健在です。序論が江戸時代の大岡裁きから幕を開け、巻末の実践編でも「不貞の抗弁」や「偽装心中」などが取り上げられることから、なんとなく雰囲気はお察しいただけるでしょうか。
 そもそも「判例」、いや、「法律」というものは、どうしようもなく「人間くさい」ものです。その「ハート」のあり方の、時代による変遷も、解説の中で興味深いところ。
 それにしても、何気なく読み進めるうち、ひょいと「インターネット」などの言葉が文中に飛び出し、あらここは補訂部分なのね、とあらためて気がつくのは、新版が旧版の「ハート」を継承している証左でしょう。
 ご興味ある方はご一読ください。