端午の節句
父が生まれ過ごした町で、毎年行われる祭りの時期が来ました。私も幼年期は、父に連れられて毎年訪れ、自分が子どもを持ってからは、やはり、毎年来ています。
定宿にしていた祖母の家も整理され、今年はどうしようかと思案していたら、宿を取ってでも行きましょうと妻の力強いお言葉。
屋台を飛び回って眼をきらきら輝かせる子どもたちに、無理してでも来た甲斐があったと思いました。
私の子ども達の顔を見るのを何よりの楽しみにしていた祖母は、もういません。祖母の亡き後、その家を必死で守っていた父も、もういません。二人のいない縁日の賑わいが寂しくてたまりません。
子どもの笑顔と、当たりもしないくじ引きを必死でねだるしかめ面。その脇で微笑みながら財布を出す妻の様子を見つめる私の中に灯る小さな暖かさに、もう寂しくありません。
寂しくて、寂しくありません。
空に舞え、5月の鯉のぼり。