自治体法務の備忘録

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阿久根市長の専決に対抗、市議が知事審決申請へ

 鹿児島県阿久根市竹原信一市長が、市議報酬に日当制を導入する条例を議会に諮らずに専決処分で制定したことに対し、市議会(16人)の反市長派12人は19日、地方自治法が定めた専決処分の実施要件に反するとして、同法に基づき、処分の取り消しを求める審決を伊藤祐一郎知事に申請する方針を固めた。近く申請する見通し。
(略)
一方、同法255条は、市町村の処分で違法に権利を侵害された場合、知事に審決の申請をすることができると規定。申請後、知事は必要に応じて専門家らを自治紛争処理委員に任命し、処分が妥当か調査させることができ、審決は強制力を持つ。2008年に福岡県糸田町議会から除名処分を受けて失職した議長(当時)が、翌年に処分取り消しを命じる審決を受けて復職したケースなどがある。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100620-OYS1T00270.htm

 記事中には255条と記述ありますが、255条は廃置分合や境界変更に関する事項なので、255条の4のことかな。

地方自治法
〔違法な権利侵害の是正手続〕
第二百五十五条の四 法律の定めるところにより異議申立て、異議の申出、審査請求、再審査請求又は審査の申立てをすることができる場合を除くほか、普通地方公共団体の事務についてこの法律の規定により普通地方公共団体の機関がした処分により違法に権利を侵害されたとする者は、その処分があつた日から二十一日以内に、都道府県の機関がした処分については総務大臣、市町村の機関がした処分については都道府県知事に審決の申請をすることができる。

 いずれにせよ珍しい。
 本条の守備範囲としては行政処分であることが要件だが、条例制定自体を対象とするか(横浜市における保育園条例のように条例制定自体を処分行為とする例はある)。それとも、専決処分自体を対象とするものか。
 給与条例の専決が司法の場で違法と判断された事例について、以前にご紹介しましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20100531/p2)、その判決に至るまで2年の月日がかかっています。
 このたびの混乱が早くに収まることを自治体職員の一人として願ってやみません。