自治体法務の備忘録

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「置く」と「設置する」

 後輩(女性)が「○○委員会を設置する。」と書いてきたので、ここは「置く。」と書くんだよ、とコメントしました。
後輩(女性)「でも、見出しは『(設置)』ですぅ」(そういう風に話す人なのです)
私「法令でも見出しと本文の記述が違うんだ」

高度情報通信ネットワーク社会形成基本法
設置
第二十五条 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、内閣に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(以下「本部」という。)を置く

後輩(女性)「あ、ホントですぅ」
私「見出しに引っ張られて『設置する』って書いちゃいそうになるけどね。慣例的なものかな、機関の設置規定って本文では『置く』って書くんだよ。目的規定なんかでは『設置する』って書くんだけど」

高度情報通信ネットワーク社会形成基本法
(目的)
第一条 この法律は、情報通信技術の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、並びに高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画の作成について定めることにより、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的とする。

私「機関のほか、職員も『置く』を使う」

行政改革推進本部令】
(専門調査会)
第一条 行政改革推進本部(以下「本部」という。)に、専門調査会を置く
2〜5 (略)
行政改革推進本部長補佐)
第二条 本部に、行政改革推進本部長補佐(以下「本部長補佐」という。)を置く
2・3 (略)
(事務局次長)
第三条 事務局に、事務局次長三人以内を置く
2・3 (略)

後輩(女性)「『置く』と『設置する』って、違うんですかぁ」
私「東京都条例にわかりやすい事例があるよ。」

【東京都しごとセンター条例】
 (設置)
第一条 東京都における多様な雇用及び就業の促進を図り、もって職業生活の充実及び産業の発展に寄与するため、東京都しごとセンター(以下「センター」という。)を東京都千代田区飯田橋三丁目十番三号に設置する
(支所)
第三条 センターに支所を置く

私「明確に使い分けて、『公の施設』である『しごとセンター』については「設置する」と書いているね。これは自治法の規定ぶりにもよるかもしれない」

地方自治法
(公の施設の設置、管理及び廃止)
第二百四十四条の二 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。
2〜11 (略)

後輩(女性)「機関や職員の場合は『置く』と」
私「ただし、国の省庁は『設置する』と書く」

総務省設置法
(設置)
第二条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、総務省設置する

私「『資金』なんかも『設置する』」

【貨幣回収準備資金に関する法律】
(資金の設置)
第二条 この法律の目的を達成するため、貨幣回収準備資金(以下「資金」という。)を設置する

後輩(女性)「ふーん」
私「途中から人ごとみたいに聞いてんなよ!」