自治体法務の備忘録

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砂防法と執行罰

 昨日の記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20100831/p1)に続いて「過料」の話題です。
私「『過料』の勉強の際に、必ず、『執行罰』の事例として砂防法が必ず説明されるよね」
後輩「はい」
私「『執行罰』って、義務履行の強制だから、当事者が実行するまで何度でも科することができるんだよ」
後輩「そんな制度って、『有り』なんですか?」
私「だからなくなったんだけどね」
後輩「なんで砂防法だけ残っているんですか?」
私「それがねぇ、…改正漏れらしい」
後輩「え゛」
私「昔はデータベースで一括検索なんてできなかったからねぇ」
後輩「それで問題ないんですか?」
私「実施しなきゃいいんだよ。具体的な金額って知ってる?」
後輩「いえ」
私「500円」

【砂防法】
第三十六条 私人ニ於テ此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ発スル命令ニ依ル義務ヲ怠ルトキハ国土交通大臣若ハ都道府県知事ハ一定ノ期限ヲ示シ若シ期限内ニ履行セサルトキ若ハ之ヲ履行スルモ不充分ナルトキハ五百円以内ニ於テ指定シタル過料ニ処スルコトヲ予告シテ其ノ履行ヲ命スルコトヲ得

私「金額が少なく義務履行に寄与しないから、執行罰としての『過料』は科さない、という説明はつく」
後輩「でも、おもしろそうな手法ですね。自治体での運用も考えられるでしょ」
私「それが駄目なのよ」
後輩「何で?自治法で5万円以下の『過料』が制定可能じゃないですか」
私「その目的が『義務履行の確保』だろ。行政代執行法には、その実施にためには法律か同法によらなければいけないと規定されているんだ」

【行政代執行法】
第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。

私「まあ、いずれにせよ、法律で消極的に運用されているものを自治体で活用することに異論はあろうけどね」