自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

続・債権管理(放棄)条例

 自治体債権を適正に関する目的をもって条例が作成される例については、拙blogでご案内させていただいたことがありました。
【債権管理(放棄)条例】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20101014/p1
 上記の記事の中では、本来は議会の議決により放棄すべき自治体の「債権」について、一定のものを「条例」と言う形で包括的に放棄の対象とすることが条例の目的の1つであることを記述しました。
 少なくない先行事例の中、その目的が的確に条文に規定されているか否かという厳しい指摘について、田中孝男先生(九州大学)と森幸二氏(北九州市)のお言葉を引用したところです。
 この記事について、このたび「さるるるる」さんからコメントいただきました。

もうひとつ、最近のパターンとして「金銭の給付を目的とする市の権利のうち、時効の援用を要するもの」を放棄できるというのがありますよ。
芦屋市債権管理に関する条例などです。
よく考えられていると思いますが、どうでしょうか。

 個人的な意見を申し上げれば、「金銭の給付を目的とする市の権利のうち、時効の援用を要するもの」という記述は、条例において規定する内容を「説明」こそすれ、その内容を明確に「限定」するものではないように思われます。
 言い方を変えれば、「時効の援用を要する」か否かは誰が判断するの?ということになるでしょうか。
 執行機関たる市長側はその対象となるべき一覧を作成しているわけでしょうが、ものによって時効の援用を要するか否かは学説によっても分かれ、また、現在の取扱いが(それこそ水道料金のように)判例によって覆る可能性もあります。少なくとも議決事項の適否を議会側が判断できる基準が明示されるべきであるような気がします。
 議決案件に該当するか否かの判断が(規則や告示における明記も要請されずに)広範に執行機関に委ねられることは議決機関との関係でどうなのか、といささか危惧するところです。