自治体法務の備忘録

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自治法の見出し

 法律の見出しについて、六法の掲載上〔〕や【】の表示は、出版社が便宜的に掲載していることは、拙blogをご覧の方にはご承知のことと思います。
 木佐茂男先生(九州大学)が、自治法130条の見出しについてご指摘されていました。

 現在の六法では、この条文の見出しが出版社により異なります。もとより地方自治法1条の2や2条という重要な条文の見出しは各社バラバラですが、その違いは価値観にあまり大きな影響がなく、取り上げるほどの問題ではないと考えます。しかし、130条になると議論の余地があるでしょう。

第百三十条 傍聴人が公然と可否を表明し、又は騒ぎ立てる等会議を妨害するときは、普通地方公共団体の議会の議長は、これを制止し、その命令に従わないときは、これを退場させ、必要がある場合においては、これを当該警察官に引き渡すことができる。
2 傍聴席が騒がしいときは、議長は、すべての傍聴人を退場させることができる。
3 前二項に定めるものを除くほか、議長は、会議の傍聴に関し必要な規則を設けなければならない。

 有斐閣では、【傍聴人に対する措置】となっていますが、ぎょうせいと岩波書店『基本六法』では〔傍聴人の取締り or 傍聴人の取締〕です。もっとも同じ岩波書店でも、『セレクト六法』は 〔議長による傍聴の秩序維持〕としています。
http://tabushi.cocolog-nifty.com/platz/2010/11/post-58f8.html

 木佐先生は、「傍聴人に対する措置」「議長による傍聴の秩序維持」を推していらっしゃいますが、私は後者に1票ですかね。
 なお、第一法規は〔会議の傍聴〕です。第3項での記述を受けてか包括的な見出しになっています。同社では129条の見出しを〔議場の秩序維持〕としており、類似の見出しを避ける意図なら、これもアリかな、と思います。