自治体法務の備忘録

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「ウルトラマン」海外利用権争い泥沼化 円谷プロvsタイ実業家

 こどもの日ですし、こんな話題はいかがでしょうか。

 ウルトラマンの海外利用権はタイ人の実業家が持つ−そんな衝撃の判決を受けて、円谷プロダクションの許諾を受けないウルトラマンが、韓国やフィリピンなどアジア各国で商品展開されることが明らかになった。円谷プロ側は実業家の権利を認めておらず、騒動は広がる恐れがある。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110429/trl11042922400000-n1.htm

 日本の司法は、昭和時代のウルトラマンの海外における独占的使用権をタイの事業者に認めた、という記事を以前に掲載したことがありました。
【裁判とウルトラマンhttp://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060716/p1
 上記記事掲載後の08年、タイ王国最高裁で、今度は円谷プロ著作権が認められ、事態はますます混迷の度合いを深めています。
 この「ねじれ判決」について、いわゆる「封印作品」に詳しいライターの安藤健二氏は、日本の民事訴訟法に定める意思推定の規定によるものとの識者の意見を紹介しています。

民事訴訟法】
(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2・3 (略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 (略)
※同法は全部改正されていますが、上記規定の趣旨は変わらないので改正後のものを掲載しています。

 裁判では、円谷プロの過去の社長名が記載された文書(http://www.courts.go.jp/tenpu/pdf7/C6BCDBAD24AD025D49256A7700082E07-1.pdf)が証拠として争われました。
 その内容は、ちょっと怪しげとも言い得るものであったのですが、上記の規定に基づく意思の推定により、円谷プロは相手方の主張を覆すことができなかった。一方で、タイ最高裁では、文書の内容に関する信頼性まで踏み込んだ判断が問われたのではないか、ということです。
 前述の拙記事中、私は

まあ、宇宙の彼方から来ても、地球の居場所はどこよ、みたいな難儀なお話。

と混ぜっ返しましたが、上記の安藤氏によれば、当時の社長に対し古くからのスタッフは厳しい見方をされているようで、どうにも関係者のご苦労お察しするばかりです。