自治体法務の備忘録

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「国会」と「議会」

 さて、上記の吉田利宏さんは「国会」の職員でいらしたわけですが、自治体の議事機関は「議会」と呼ばれます。
 これらの用語について、憲法改正に際してのトリビアがあります。

法令用語の常識 改訂版 (セミナー叢書)

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 明治憲法時代は、国の立法機関は、「帝国議会」と呼ばれていたが、現行憲法では、周知のとおり、これが「国会」となっている。これに対して、地方公共団体の議事機関は、明治憲法時代は、府県制、市制、町村制などの法律によって、それぞれ、府会、県会、市会、町会、村会などと固有の名称がついていたのに対し、現在では、憲法第93条が、この種の議事機関について包括的に「議会」ということばを用いているのを受けて、地方自治法も、「議会」というのをそのまま用いているので、むかしとはちがって、府会、県会、市会ではなく、それぞれ府議会、県議会、市議会などと呼ばれるわけである。
(210頁)

 明治憲法の頃と現在の呼称がひっくり返っているのがおもしろいですね。

 もっとも、憲法でそう規定されても、地方自治法では、府の議会は府会と、県の議会は県会と称するようにすることもできないなかったわではないが、議会という名前が何か重々しくきこえるものをもっていることに加えて、折角憲法で議会という名称をつけたのをわざわざ変えるほどのこともあるまいというような理由に基づくものであろう。
(211頁)

 用語に聞こえる「重み」は、これからの時代に、ますます期待されるものになるのでしょう。