自治体法務の備忘録

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市が保護者から徴収、給食費が一般会計繰り入れへ/海老名

 海老名市は29日開会の9月市議会に「市学校給食費に関する条例」案を提案する。私会計だった学校給食費を市の一般会計に繰り入れることで、透明化などを図る。可決されれば、県内では横浜市に次いで2例目となる。施行は来年度から。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1108260028/

 学校給食費の会計については、「法学セミナー」誌に連載の「クロスセッション−国法・自治体法の現場から」でまるまる1回を使って説明させていただきました(2011年5月号)。横浜市条例についても触れさせていただいています。
 拙blogで、横浜市条例の審議時にご紹介させていただいた記事はこちら→【学校給食費滞納、市が徴収へ…横浜】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20101220/p1
 同条例の施行日は規則に委任されており、横浜市例規集には現在のところ未掲載のようですが、提出時の議案はネットで確認することができます。

横浜市学校給食費の管理に関する条例】
(趣旨)
第1条 この条例は、横浜市(以下「市」という。)の設置する学校において、学校給食法(昭和29年法律第160 号。以下「法」という。)第4条及び特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律(昭和32年法律第118 号。以下「特別支援学校給食法」という。)第3条の規定に基づき実施する学校給食に係る学校給食費の取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。
http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/gian/h22-4t-sig065.pdf

 提案に際して、今後のスケジュールのほか、「法学セミナー」掲載の拙記事にも引用した文部省記事の抜粋も掲載された資料が添付されており、興味深い。
【市第65号議案 横浜市学校給食費の管理に関する条例の制定について】http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j3-20101210-ky-1.pdf
 今回の海老名市条例に関する記事で気になるのが、

公会計となると、滞納者は強制徴収の対象になるが、市は「それが目的ではない。一番は給食費の透明化と児童生徒の安全」と説明している。

という記述です。公会計となっても、その全てについて強制徴収を行えるわけではない。それは上記の横浜市資料の3頁にも明記があります。
 先行事例も踏まえた政策であり、自治体債権については研究が進んでいるので報道の誤解なのかしらん。あるいはテクニカルな解釈を独自に行うものなのか。同種の検討をされている自治体はご留意を。
 なお、「法学セミナー」掲載の拙記事では、自治体会計への一元化は効率論が優先される端緒となり、各学校における特色ある取り組みが阻害されかねないという懸念についても触れさせていただいております。同種の検討をされている自治体は重ねてご留意ください。