自治体法務の備忘録

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「通貨」を知れば世界が読める

 著者の浜矩子教授の著書は、ちょっと前に「1ドル50円時代を生き抜く日本経済」をご紹介させていただきました。(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20111004/p2

「通貨」を知れば世界が読める (PHPビジネス新書)

「通貨」を知れば世界が読める (PHPビジネス新書)

 本書は、上記のプラザ合意よりだいぶ前、英ポンドが経済を席巻していた頃から、ドラマチックな時代の流れを俯瞰します。「金本位制」を巡る各国の駆け引きは興味深く、また、だぶついた「円」が近年の経済ショックを惹起したとの説明に至っては、実態を捉えがたい「経済」の底知れなさを感じざるを得ません。
 著者は「ドル」のような基軸通貨(国際市場で決済される通貨)の今後に懸念を示します。
 確かに、ギリシャ危機でユーロの行方も不透明なのは皆さんもご承知のとおり。通貨統合により異なる規模の市場が同じ枠内で囲われたことから、結果として金融政策で危機に対処することが限定され、財政政策を積極的に発動せざるを得なくなった現状が、関係各国の間に軋みを生じさせています。
 本書の結びには、手の届く範囲の「信用」を形作るものとして「地域通貨」の可能性に触れられています。イタリアで、リラの暴騰に対して釣り銭準備の困難さから「キャンディ」が地域通貨の端緒ことになった事例(「今、ちょっとお釣りを切らしちゃってて…。あいすみません。これでガマンしてくださいな」203頁)が興味深い。
 著者は、通貨の今後について、覇権的な「ドル」や人工的な「ユーロ」のような単一通貨の拡大ではなく、通貨の本来の機能である「信頼」の範囲に域内を限定させた上で、決済手段の共通性を模索し「共生」を図る可能性を示します。
 これなど、昨今の政治・行政分野のヒントにもなりそうです。