自治体法務の備忘録

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辞令のペーパーレス化

 半鐘さんがご掲載の記事から

 県、異動内示書と辞令書を廃止 ペーパーレス化、業務量削減など目的に(山形新聞
 http://yamagata-np.jp/news/201203/13/kj_2012031300423.php
 人事異動もペーパーレス化 電子ネットワークで発令(産経)
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/120323/ngn12032319010003-n1.htm
山形県だけなら書くまでもなかったのですが、長野県もとあっては、ここにメモしておく価値もあろうというもの。
さて、異動をペーパーレス化しても事実上問題ないと思いますが、理論上は措置要求・不服申立ての話もありうるのかなと思いますので、規定上でなにか工夫すべき点・したところはあるのかなー、といった興味は湧きます。
http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-577.html

 「地方自治職員研修」誌(公職研)10年7月号では、「定期人事異動等に係る辞令書は廃止できるか」という質疑応答が掲載されています。

地方自治職員研修 2010年 07月号 [雑誌]

地方自治職員研修 2010年 07月号 [雑誌]

 記事中では、「3月中に実施される人事異動の内示をもって辞令の交付に代えることができる」旨の説明ですが、その大筋はご紹介に事例にも適合しようと思いますので少々引用させていただきます。

任命行為のうち発令主義によるものについては、これに係る辞令書の廃止を実現することができる。
なお、到達主義による懲戒処分や分限処分などのように書面の交付をもって行わなければならないもののほか、育児休業などのように規則等により辞令書の交付を義務付けられているものがあるので注意を要する。
(101頁)

 ここで、上記の記述に先だって説明される「発令主義」「到達主義」についてまとめると以下のとおりです。

  • 発令主義 採用、昇任、転任、配置換、任期更新の場合や臨時的任用を行った場合又は臨時的任用を更新した場合のほか、復職、失職、辞職の昇任、退職(免職又は辞職の場合を除く)など
  • 到達主義 職員に不利益を与える処分である降任、休職、免職

(平成21年3月18日発令 人企532号)

 半鐘さんは4月からペーパーレス化を実施する例として長野県と山形県を挙げられていますが、既に実施している自治体には例規(訓令)を改正している事例も見受けられます。

【千葉県職員人事事務取扱規程】
(人事異動発令通知)
第八条 職員の任免等の発令は、原則として庶務共通事務処理システム(千葉県職員服務規程(平成十七年千葉県訓令第五号)第二条第十八号に規定する庶務共通事務処理システムをいう。以下同じ。)により本人に通知して行うものとする。ただし、当該職員の任免等の発令が、採用、退職、分限処分、懲戒処分等に係るもの及び派遣等に係るものであるときは、辞令(別記第六号様式)も併せて本人に交付するものとする。
2 総務部総務課長は、職員の任免等の発令を、採用、配置換え、出向採用等の場合にあつては新所属長に、出向、退職等の場合にあつては現所属長に、それぞれ庶務共通事務処理システムにより通知するものとする。
http://www3.e-reikinet.jp/cgi-bin/chiba-ken/D1W_resdata.exe?PROCID=583229220&CALLTYPE=2&RESNO=1&UKEY=1332741105818

 また、システムの利用について明確に記述がなくとも、発令主義に基づき「通知書」をもって辞令の交付に代える手段とする例はあるようです。
 以下の事例では「その他適当な方法」を併記しており、ネットワーク使用の余地が読み込めます。

磐田市職員の辞令式に関する規程】
(辞令書の交付を要しない場合)
第6条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、文書その他適当な方法をもって辞令書に代えることができる。
(1) 条例、規則等の改廃による組織の変更に伴い、職員を出向させ、転任させ、又は配置する場合
(2) 職員の給料を昇給させる場合
(3) 派遣の期間の満了により職員が職務に復帰する場合
(4) 任期の満了により再任用職員が当然に退職する場合
(5) 任期の満了により任期付職員が当然に退職する場合
(6) 前各号のほか辞令書の交付によらないことを適当と認める場合
http://www.city.iwata.shizuoka.jp/reiki_int/reiki_honbun/ar19901281.html
※強調はkei-zuによる。

船橋市職員辞令式規程】
(辞令の交付)
第3条 職員の人事発令は、次条に定める場合を除き辞令を交付して行う。
第4条 次の各号のいずれかに該当する場合は、通知書その他適当な方法をもって辞令の交付に代えることができる。
(1) 例規の改廃による組織の変更等に伴い、職員を転任させた場合
(2) 職員の職の名称の変更のため、多数の発令をする場合
(3) その他特に辞令の交付を要しないと認められる場合
http://www.city.funabashi.chiba.jp/reiki_int/reiki_honbun/ag00501301.html
※強調はkei-zuによる。