「従うべき基準」と基準条例
一括法が自治体に要請する基準条例の制定について、「従うべき基準」の取り扱いについてご質問をいただきました。
「従うべき」とあるからは、自治体の自由度が皆無なのか、というご質問です。
これについては、参考書から引用しましょう。
第3次勧告の別紙2では、従うべき基準と異なることを定めることは「当該基準に従う範囲内で、地域の実情に応じた内容を定めることは許容」とされている。
そこで、例えば次のような場合は、従うべき基準の「範囲内」であることを法の趣旨を踏まえつつ説明できれば、従うべき基準に反して違法とはならないと考える。
○安全基準として最低基準が数値で示された場合
→条例でより安全な数値を設定すること
○基準が性能(例:清潔であること)で示された場合
→条例で性能を数量に具体化して設定(例:清掃1日1回)すること
これらが従うべき基準の範囲を超えているかどうかの判断は、最終的には裁判所で判断されることになる。
「ポイント解説「地域主権改革」関連法」(第一法規)130〜132頁
「地方財務」誌(ぎょうせい)最新号(7月号)は、施設・公物設置管理基準等に関する条例委任の対応について特集を組んでおり、各自治体の取り組みについて記事が充実しています。
その中で、児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等の制定について、東京都条例で「従うべき基準」とされた事項について独自に上乗せを行っていることが紹介されています。
国は、「乳児室の面積」について乳児又は満2歳に満たない幼児1人当たり1.65平方メートル以上(中略)、「ほふく室の面積」について乳児又は満2歳に満たない幼児1人当たり3.3平方メートル以上(中略)とするのに対し、都は、乳児室及びほふく室について乳幼児1人当たり3.3平方メートル以上を基準に許可等を行ってきたところであることから、同様の規定としたところである(後略)。
(47ページ)
東京都の取り扱いは、上記書籍に記述される意図に沿うものと考えます。