使用料と消費税
社会保障・税一体改革関連法の成立を受け、自治体でも消費税に関する検討が必要になってきます。市民会館など公の施設の使用料については、消費税の課税対象になっているからです。
これは、消費税の課税対象が「広く薄く公平に」という考え方を基本としており、土地の譲渡など消費に負担を求める税としての性格上課税対象とならないものや、医療、福祉、教育など、諸外国の例等を考慮して政策的に非課税とされるものが限定されていることによります(消費税法別表第1)。
したがって、条例に定められている公の施設の使用料(地方自治法228条1項)は、消費税率が改正された場合は、消費税分の額を改正する必要があるわけです。
とはいえ、上記の消費税を自治体が税務署に納めているわけではありません。
自治体が一般会計に係る業務として行う事業については、「課税標準に対する消費税額と控除することができる消費税額とを同額とみなす」ことにより、「結果的に納税額が発生しない仕組み」になっているからです(消費税法60条6項)。*1
では、消費税率の引き上げ分がまるまる自治体の「儲け」になるかというと、そういうわけではないのです。
電気代などの高熱水費は消費税の改定分上昇するでしょ?他にも、警備業務委託など施設管理に関する各種の支出額には、上昇分の消費税が影響してくるわけです。
補足して言えば、使用料で管理費を賄いきれない、言いかえれば「持ち出し」がある施設については、支出額が大きくなる可能性すらあります。
ちょっと話を戻せば、自治体に対し結果的に納税額が発生しない仕組みになっているのは、このような「持ち出し」を見込んでなのではないかと個人的には思っています。