自治体法務の備忘録

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手数料と消費税

 先般、公の施設の使用料と消費税に関してご説明させていただいたところです(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20120829/p1)。
 上記の記事をブックマークいただいたtihoujitiさんに、

その一方で手数料は消費税非課税である件について
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/kei-zu/20120829/p1

とコメントいただきましたので、補足して説明させていただきましょう。
 自治体が法令や例規に基づいて行う事務で、その手数料の徴収が法令に基づいて行われるもののうち、許可、検査、公文書の交付、紛争の処理などに係る役務の提供については、民間企業との競合が考えられるものを除いて、消費税は非課税とされています(消費税法別表第1第5号)。具体的には、住民票記載事項証明書や印鑑登録証明書の交付などがこれに該当します。
 そもそも、手数料とは自治体が特定の者のために役務を提供することに関して徴収する金銭です。
 ものの本によると、手数料の多くが、行政主体の権力を背景として徴収され、または国民生活の遂行上その支払が事実上強制されるなど、税金と類似する性格を持っていることから、そのような役務の提供に対し消費税を課税することは、結果的に税に税を課するものとみることもできるため、手数料を徴収して行う事務のうち一定の要件を満たすものについては、消費税を非課税とすることとされている、とのことです。
 なお、自治体が金銭を徴収して行う事務であっても、法令に根拠がなく住民の依頼に基づいて行うようなものについては、消費税の対象となり得ますのでご注意ください。
 ちょっと脱線しますと、「全国的に統一して定めることが特に必要と認められる」手数料の額については、「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」で、その標準とすべき額が定められています。
 平成12年4月1日施行の地方分権改革に伴い、手数料の額について条例で定めるべきとされたことに伴うものですが、平成12年1月21日というその公布日を見ると、条例整備を担当された当時の自治体職員のご苦労を察するに余りあります。