自治体法務の備忘録

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国会の解散権

後輩「国会って、開会中じゃないと解散できないんですか?」
私「だって、解散しようとする対象の国会がない状態じゃない」
後輩「でも、議員さんは永田町にいますよ」
私「永田町にあるのは『国会議事堂』という建物だよ。国会議員は国会の構成員。国会が機能するためには、議員が召集される必要がある」
後輩「あ、そうか」
私「召集するのは天皇陛下でも、国事行為として内閣の助言と承認が必要でしょ」
後輩「えーと、ちょっと待ってください。総理大臣は国会議員でしょ?」
私「うん。議院内閣制に基づいて総理大臣は国会議員から選ばれる。だけど、内閣は行政府として立法府とは独自に存在する。行政府と立法府の関係は、歴史的な経緯から、各国でその関係が違うのはご存じのとおり」
後輩「議員内閣制って、連帯責任でしょ。なんで国会の解散って、総理大臣の権限なんですか」
私「おー、いい質問。厳密にいうと、天皇陛下に助言と承認を与えるのは『内閣』なんで総理大臣じゃない」
後輩「違うんですか?」
私「内閣の意思決定は、国務大臣による『閣議』という会議に基づく。もっとも、その国務大臣を選ぶのは総理大臣だけどね」
後輩「それで、実質的に総理大臣の権限なわけですか」
私「もっとも、解散権は、衆議院不信任決議が行われた場合しか認められない、という学説もある。まぁ、やっちゃってるけどねー」
後輩「首長による自治体議会の解散って、できるんでしたっけ」
私「自治法に定めがある。でも、この場合は、議会における不信任の議決が要件」
後輩「おかしいじゃないですか。やっぱり、不信任に基づかない国会の解散って、違憲なんじゃないですか?」
私「自治体は二元代表制なのに対して、国は議院内閣制でしょ。行政府と立法府の関係が自治体と違うから、違う解釈をする余地はある。自治体で首長独自の解散権を認めたら、議会の監視機能が働かなくなるおそれがあるよ」
 ああ、それにつけても特例公債法案の行く末は。