自治体法務の備忘録

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Re:医薬品ネット販売の権利確認等請求事件に係る最高裁判決

 大衆薬ネット通販を巡る最高裁の判決については、既にtihoujitiさんがご紹介されています。

 上記最高裁判決の判決文のアップも早いですが、当該事件で勝訴が確定した事業者さんのネット販売も既に再開されておるようです。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20130111

 いや、あなたも早いですわよ。
 なお、本訴訟の原告代理人は、阿部泰隆先生でいらっしゃったのですね。

 ケンコーコムの訴訟代理人である阿部泰隆弁護士は「最高の判決だ」と述べたうえで、こう解説した。
 「対面販売かネット販売かという概念は薬事法には出てこない。我々は、(法律である)薬事法にネット販売を制限するとは書いていないのに、厚生労働省が(薬事法の範囲内で規定するべき)省令で販売を制限するのは違法であると主張してきた。最高裁は『厚生労働省が規制したいなら、法律に書くべきだ』と言ってくれた」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130111/449153/

 上記の阿部先生のご指摘は、ご自身のサイトに取りまとめられています。ご記述は高裁判決時です。

薬事法は、店舗販売業者が行う第一類・第二類医薬品の郵便等販売を一律に禁止することまで厚生労働省令に委任しているものではないから、郵便等販売を規制した規制を定めた部分は、法律の委任によらないで国民の権利を制限する省令の規定であるとしたものである。特に薬事法36条の6は「必要な情報を提供」することについて厚労省令に委任しているのであり、これがネット販売禁止・対面販売禁止を定めるものとは読めないというものである。この論点は弁護団でも私が一人強く主張したものであり、役だって良かったと思っている。
http://www.eonet.ne.jp/~greatdragon/hotnews4.html

 なお、訴訟で求められた無効の確認は認められましたが、その余の省令の改正規定の取消しを求める訴えは退けられています。

【一審判決主文 】

  1. 本件訴えのうち、厚生労働大臣が平成二一年二月六日に公布した薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成二一年厚生労働省令第一〇号)のうち、薬事法施行規則に一五条の四第一項一号、一五九条の一四、一五九条の一五第一項一号、一五九条の一六第一号並びに一五九条の一七第一号及び第二号の各規定を加える改正規定が無効であることの確認を求める訴え並びに上記省令の改正規定の取消しを求める訴えをいずれも却下する。
  2. 原告らのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。
  3. 訴訟費用は、原告らの負担とする。

【二審判決主文】

  1. 原判決主文第2項を取り消す。
  2. 控訴人らが、医薬品の店舗販売業の許可を受けた者とみなされる既存一般販売業者として、平成21年厚生労働省令第10号による改正後の薬事法施行規則の規定にかかわらず、第一類医薬品及び第二類医薬品につき店舗以外の場所にいる者に対する郵便その他の方法による販売をすることができる権利(地位)を有することを確認する
  3. 控訴人らのその余の控訴をいずれも棄却する。
  4. 訴訟費用は、第1、2審を通じ、これを3分し、その2を控訴人らの、その余を被控訴人の負担とする。

 この点が一時期「政府は『省令は2業者のみに無効となるが、ほかの業者には効力が及ぶ』との立場を取る方針」と報道された内容(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130111/plc13011108160008-n1.htm)につながるのでしょう。
 とはいえ、各社はネット解禁に向けた準備をすすめているようで、経済紙には、その詳しい紹介があります。
【大衆薬ネット通販、「未開の地」開拓狙う各社 ケンコーコム勝訴確定で号砲】http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1104H_R10C13A1000000/