自治体法務の備忘録

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民間登用者の活躍と自治体法務の充実

 M研究員のサイトから

しかし、すべての自治体職員が愚直で真面目であると、困難な問題に立ち向かえないかもしれない。そこで一部の自治体職員にはチャレンジな活動が求められる。それを後押しするため、チャレンジ精神を持っている民間企業の経験者を積極的に採用するといい。筆者は、民間企業の経験者を採用することで、その経験者が配属された部課が変わっていく様子を何度も見てきた。チャレンジ精神を自治体に伝播していくためには、外部から人材を入れていくことが一つの処方箋だろう。
http://makiseminoru.cocolog-nifty.com/m_researcher/2013/01/post-8bce.html

 いーや、それはどうかしら(にやり
 先日、第一線でご活躍される中堅職員の方が、ある会合で発言されていました。
「民間から登用ってよく言われるけど、民間経験者が優秀な事例を僕はあまり知らない。むしろ、高卒の若い職員をきっちり育て上げる方がよい仕事をするのではないか」
 気心も知れた気安さもあって「いやぁ、私も民間で使い物にならなかったから役所にいるんですよ」と意地悪く申し上げました。
 冗談はさておき、実際の話し、民間出身者がすべて上記にいう「チャレンジ精神」を持ってるわけではないでしょう。そんなことを言えば、現在の職場一筋でがんばっていらっしゃる方々に申し訳ありません。

民間出身者 = チャレンジ精神を持つ者

の期待ではなくて、

チャレンジ精神を持つ者が集まる風土 = 自治

の理想が本来であるはずです。
 というより「役人」「民間」二元論での問いかけが問題ではないのかしら。必要なのは「機会や経験をどれだけ自分のものにできるか」ではないでしょうか。
 その機会や経験を持とうとしないのが「チャレンジ精神」のなさなのよ、といわれればそれまでなのですが、機会や経験を自分のものにしない人間は民間出身者にも少なくないでしょう(民間企業にいた俺が言うのよ
 私個人の考えを申し上げれば、民間経験者に期待すべきは、法規のベテランでいらした役所OBの方に私がお言葉いただいたような「視点の多さ」であろうかと思います。
 私が交流させていただいているある法制職員の方は金融機関の後、国家機関を経て現在は市役所で勤務されています。途中、県にも研修という立場でお仕事されていますから、「民間」「国」「県」「市」のサイクルホームランです。視点の多さからか、ハッとすることを発言されます。
 であれば、現在の役場でずっと勤務される方であっても、地域活動や各種研究会への参加など「視点の多さ」を持つ機会がないはずはありません。
 冒頭にお言葉をご紹介した方は、次のようにもおっしゃっていました。
「職員の法知識の充実もよく言われるけど、知識ばかりある人間が役所に入ってくるより、『仕事人としての常識』を持っている人間が法知識を学ぶ方が役に立つ例は多い」
 学んだ知識を実務の中で肉付ける、あるいは、実務の指針として知識を学ぶ。自治体法務の学習と実践は背中合わせです。そしてそれは法務についてばかりではないでしょう。
 必要なのは、今現在の自分の可能性をそれぞれが気づき、実践することではないでしょうか。