自治体法務の備忘録

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新書濫読2

 先日、最近読んだおもしろい本の中で、新書を何冊かご紹介しましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20130505/p1)、何冊か漏れてしまったので補足しましょう。
 業務連絡です。id:hachiro86さーん。

金融がやっていること (ちくまプリマー新書)

金融がやっていること (ちくまプリマー新書)

 前職の保険会社に入社したばかりに勉強した内容を思い出しました。「金融」の初歩的な知識から、リーマン・ショックの原因となった「デリバティブ」の仕組みなど、わかりやすく説明されています。
民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

 こちらも、ちくまプリマー新書です。
 政治の仕組みについての解説。高校生向けなのでわかりやすい。先日も何冊かご紹介しましたが、ちくまプリマー新書は良書が多いです。
オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

 朝日新聞「悩みのるつぼ」に掲載された人生相談をまとめたもの。といっても、本書の性格は「『回答』に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開(裏表紙の内容紹介から抜粋)」というから一筋縄ではいかない。
 章名にもある「相手と同じ温度の風呂に入る」というのは説得力があります。法律相談にも使えるかしら。 自分が「有名になる」気はさらさらありませんが、自己プロデュースについて著者自身の経験を踏まえた記述がおもしろい。
 なお、いわゆる「勝間本」を読んだのは、本書が初めてでした。
ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

 武雄市の図書館の指定管理者が、貸出履歴をからリコメンド機能を開始しようとしたことについて議論があったのは記憶に新しい。民間企業において蓄積されたデータの活用は当然の発想になっています。
 ところで、Gメールをご利用の皆さんは、メールの中身までgoogleがチェックしているってご存じでした?チェックの結果はお客様の利便の向上につながります。あ、もちろん同社の広告収入にもつながりますよ。
 ただ、本書では「ビッグデータ」の活用を否定的にとらえません。ビジネスチャンスを含めた今後の「可能性」を提示します。行政における利用についても提言があり、個人情報保護のハードルが高い現状では不透明ではあるものの、肯定するにせよ否定するにせよ、なかなか興味深い内容。
ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

 先日の記事でご紹介した「日本財政 転換の指針」でも指摘あったように、日本の社会保障は企業が支える制度設計が採られていたわけですが、逆説的に、企業がその優位性をもって従業員に過重な負担を強いる状況は、正社員が「狭き門」となった現状で、より顕著であると本書は指摘します。
 企業が利益を追求するのは当然ですが、一方で、若年層労働者の置かれた環境について、世間の理解が十分ではないと著者は懸念しています。
映画館のまわし者―ある映写技術者のつぶやき (SCREEN新書)

映画館のまわし者―ある映写技術者のつぶやき (SCREEN新書)

 「まわし者」とは穏やかではありませんが、副題に「ある映写技師のつぶやき」とあります。劇場の背後にある小部屋でフィルムを「まわす」お仕事について書かれているのですね。
 レンタルビデオの普及で名画座は姿を消しつつありますが、著者が勤められた大井武蔵野館は私も懐かしい劇場です。
 技術的なトリビアも多く、映写機は、フィルムを1コマずつ停止させた上で2回ずつ映写の光を点滅させる、なんてことも初めて知りました。つまり、1秒の映写の間、24コマが2回ずつ、計48回点滅するというのです。観客の目に、残像はそのように作るのですね。