自治体法務の備忘録

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娯楽映画と世相

 娯楽映画は、時代の世相を映し出すと言われます。アメリカで50年代に侵略SF映画が大量生産されたのは、ソビエト連邦による人工衛星の打ち上げ成功による「空からの危機感」に基づくものと指摘されています。
 既にウェブでは評されていますが、上記の映画のうち1と4は「壁」が大きなテーマです*1。そして、それが問題を解決できなかったことも。
 「パシフィック・リム」の題(日本訳すれば「環太平洋地域」)から、これをTPPの暗喩とする意見もありますが、4では「壁」を建設するのはイスラエルであることから、むしろ広く国家あるいは地域の「遮断」「断絶」を象徴するものかもしれません。*2
 また、それは、グローバル経済への危機感と、一方で閉塞する感情の裏返しであるのかもしれない、と思うところです。
 一方で、2と3は、異文化との交流をテーマにするもので、それ自体はアメリカ映画で従来から試みられてきたアプローチであるものの、その時期的な一致には興味深く思います。
 実際のところ、娯楽映画で世相が映し出されるのは、ご立派な「社会批評」を意図したものではありません(そのような例もあるでしょうが)。優れた娯楽作品ほど「あー、それ、わかるわかる」という観客の感情移入を求める物語構造を持つことによるわけです。
 それにしても、(以下一部、文字反転)膨大な破壊の元凶とも言えるスーパーマンが許容される物語展開は、やっぱり移民の国だからなのかなぁ。

*1:最近アニメ化された日本のマンガ「進撃の巨人」も含めて、同様の指摘をする向きもあります。

*2:一方、1がアメリカで思っていたほどの興行収入を得られず、中国での収入が大きかった、という事実も興味深くあります。