自治体法務の備忘録

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ものがたり公務員法

ものがたり公務員法―あらためて公務の原点を考える

ものがたり公務員法―あらためて公務の原点を考える

 人事院職員でいらっしゃった著者が「国公労調査時評」に連載された内容がまとめられています。
 97年と、ちょっと前の刊行ではありますが、戦前からの公務員制度についてわかりやすく解説され、興味深かったです。

 このラスパイレス方式によって較差を算出する現行の比較制度がはじまったのは1959年のことですから、かなり長く続いていることになりますが、当時の担当者だった先輩のお話をうかがうと、こんなに続くとは夢にも考えなかったそうで、まあ数年はこれでいくか、というような気分だったとのことです。
(94ページ)

なんて記述があると、ドキッとしますな。官民の人員構成にズレがある場合は適切な指標になりえないおそれがあるそうで、その旨を大学教授にポロッと漏らした後、あわてて「個人的見解で、人事院の公式見解ではない」と補足されたなど、内幕もののおもしろさがあります。
 09年に国家公務員法で廃止された職階制については、「よくわからない」とご自身の所感を述べられた上で、

 そんなにわからないというのも、もとはいえば翻訳した人自身が職階制をわかっていなかったせいだという人があらわれて、そういわれると私としても少しホッとします。
(99ページ)

と書かれるのですから、やはり参考書を眺めて何度も首を捻った私としてもホッとします。
 公務員制度に関しては、昨年の夏に

自民党と公務員制度改革

自民党と公務員制度改革

をご紹介しました(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20130807)。
 今後の「あるべき」を論じる上でも、過去の経緯に関する知識がいろいろと必要で、勉強になります。