自治体法務の備忘録

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日本の地方財政

日本の地方財政

日本の地方財政

 冬休みの間、一気に読んでしまいました。刊行の時期が忙しくなり始める時期であったこともあって、近所の書店で取り寄せてから(できるだけamazonは使わないようにしています)なかなか目が通せなかったのが悔やまれます。
 著者のお二人のご講演は過去にも拝聴したことがありますが、いずれも興味深い内容で、とても勉強になるものでした。実のところ、地方財政を「正確に」「わかりやすく」説明される機会というのはあまりなくて、入門書でも、著者の理解が十分に至っているか疑問を持たざるを得ないことも少なくありません。
 本書では、「自治体の地方交付税への不信感は、その理解が十分でないところが大きい」など厳しい指摘がある一方で、交付税の算定基準である基準財政需要学額は、自治体の標準的な歳出基準ではない」と、誤解されやすい制度の内容を解きほぐしています。
 地方債の同意が許可から改められた経緯についても、借入れ需要が世に大きかった頃は、金利の上昇を抑える意味でも許可制度としての制限が必要であったなど、目から鱗でした。

本書は地方財政の入門書ではあるけれども、いわば読書会方式で地方財政を「学びあう」手引書として書き上げてある。「学びの共同体」が地方自治体の職員同士であっても、学生同士であっても、それは問わない。(中略)「学びあう」手引書であるため、好きな章から読み始めてもらって構わない。つまり、どの章からでも対話を始め、議論をし、疑問を提起しながら、真理に近づいていくことができるように構成してある。
(「はじめに」から抜粋)

 財政部門に所属される職員のみならず、地方財政に興味をもたれる方は目を通していただけたらと思います。