自治体法務の備忘録

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改訂版 自治体のための債権回収Q&A

自治体のための債権回収Q&A 現場からの質問【改訂版】

自治体のための債権回収Q&A 現場からの質問【改訂版】

 第一法規からの新刊です。
 2012年に刊行された前著の改訂版。ページ数も200頁から70頁ほど大幅に増量されました。
 自治体を巡る債権については、「公債権」「私債権」と二分できるものではなく、「自治体債権」とでもいうべきものの中で公権力の色合いがグラデーションになっているというのが私の基本的な考えです。ただし、その点に、説明が不十分か、執筆者に充分な理解が及んでいるか不安な記事を見かけることも否定できません。
 本書では、「公債権」「私債権」の区分の適否について識者の見解を引用した上で、実務上の取扱いとして整理されています。

 本書では問題を分かりやすくするため、公債権、私債権という表現を使いましたが、個々の債権にどの法律が適用されるのかを慎重に見極める必要があります。
(5ページ)

 実際のところ、「⚪︎⚪︎法に規定があるから「公債権」(あるいは「私債権」)」と単純に判断できるものではありません。また、先に私が提示した「自治体債権」における公権力の色合いも、所管省庁や法律の沿革によってまちまちであるのが現状です。
 自治体の現場にとってみれば、運用する職員ばかりか何より住民の方々に混乱を招くような現在の法体系に疑問を持たざるをえません。
 逆に言えば、自治体職員の手による本書は、現場のための理解の提示であり、先にのべた改訂に際しての大幅なページ数の増加も、現場における知恵と実践の蓄積ということが出来ると思います。

 研修会での質問は当方が想定しない事項も多く、回答を導き出すことに多くの時間を費やすこととなりましたが、本Q&Aは各研修会の事前質問にお答えしたものを修正し、加筆したものです。
(「改訂版発刊にあたって」)

 自治体の現場における法の運用は「答え探し」ではありません。本書をお手に取られた方も、実践とそれに基づく成果の蓄積に本書をお役立てていただけたらと読者の立場から思います。