自治体法務の備忘録

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全国900近くの自治体「借金返済資金」別費用に

地方自治体が発行する「臨時財政対策債」という、借金の返済に充てるため国が交付している資金が、別の費用に使われるケースが相次ぎ、全国900近くの自治体で、総額5700億円余りにのぼるとみられることが、NHKの取材で分かりました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150714/k10010150161000.html

 私に理解力がないのか記事の記述が不十分なのか、内容がまったくわかりません。

臨時財政対策債」は、国が地方交付税に回す財源が不足しているとして、不足分に限って平成13年度から地方自治体に発行が認められたもので、返済に充てる資金は国が地方交付税に加算して自治体に支給しています。
しかし、厳しい財政状況のなか、支給された資金を返済には充てず、政策を実行する費用など別の目的に使う自治体が相次いでいることがNHKの取材で分かりました。

  • 支給された資金を返済には充てず、政策を実行する費用など別の目的に使う

 3つの点でおかしい。
 まず、地方交付税一般財源なので使途は限定されません(その旨の記述は、記事の最後にありますが)。
 2つ目は、地方交付税は「発行可能額」に対して措置されるので、極端なことを言えば、臨時財政対策債を借り入れなくても、地方交付税に相当額が含まれます。したがって、「支給された資金を返済」することは、要請にありません。
 そもそも、地方交付税が国で十分に用意できないことが、臨時財政対策債の発行の原因です。代替手段である臨時財政対策債と併せ、相当額の地方交付税の使途が限定されるべきではありません。
 最後に、「資金を返済には充て」なかったとしても、返済を繰り延べするわけにはいかない、という点です。地方交付税から返済しなくても、他の財源から返済をしなければいけないわけで、会計上の影響はありません(一般財源であれば、どの歳入から支出しても、結果は同じ)。
 何か見落としている点があるのかしら。