分権危惧論の検証
- 作者: 嶋田暁文,木佐茂男,青木栄一,野口和雄,沼尾波子
- 出版社/メーカー: 公人の友社
- 発売日: 2015/07/15
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
「教育・都市計画・福祉」と副題にあるとおり、青木栄一先生(東北大学)、野口和雄先生(法政大学現代法研究所)、沼尾波子先生(日本大学)にご報告いただいています。
個人的には、現在、教育行政について勉強していることもあり、教育分野について、特に興味深く読みました。
知事が教員給与のやりくりをする状況がいま生起しています。(中略)非正規教員を増やして先生の給与を削れるだけ削って、3分の2の交付税――給与ですと800万から900万の計算ですから、1人削れば600万円手元に交付税分が残るという計算を計算をいま県はしています。
(33頁)
県によって程度は違いますけれども、教職員組合と教育委員会とは基本的に友好関係が構築されています。(中略)教員が一体感を持っているのは、教育改革の推進要因にもなる一方で教育のイノベーションの停滞要因にもなると考えても良いのではないかと思います。つまり、教員でなければ教育の中身は分からないから、改革には不可欠だろうけれども、その一方で教員は現状維持志向が強いということです。
(91頁)
県の教育事務所は、関係者がいたら申し訳ないのですが、市町村の教育改革にとってはネックなのです。(中略)ここでがっちり人事を握ってしまっていますから、本庁(kei-zu注:県教育委員会)も手が出せないエリアがあるわけです。
(略)
ただ、教育行政のルーティンワークに関していうと、合併が進んだことによって、県の教育事務所が事実上いらなくなってきたことが大きい。ですから教育事務所の統廃合は進んでいます。
(93頁)
都市計画分野においても、建築主事は自治体に残された機関委任事務だ、という指摘は虚を突かれました。
対話形式なので読みやすく、ご興味ある方は手に取られてください。