自治体法務の備忘録

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福祉行政の基礎

福祉行政の基礎 (地方自治・実務入門シリーズ)

福祉行政の基礎 (地方自治・実務入門シリーズ)

 有斐閣からの新刊です。一気に読んでしまいました。
 表紙には「地方自治・実務入門シリーズ」とあります。

地方自治・実務入門シリーズ」と題するこの企画は、全体として、若手・中堅と呼ばれる層の自治体職員を主たる読者対象とし、その基礎力の養成に資することを目標としている。(中略)シリーズのもとでは、個別の行政分野を扱う巻と横断的課題を扱う巻の両方が随時出版されるが、いずれにおいても通奏低音のごとく意識されている課題である。
(北村喜宣教授による「「地方自治・実務入門シリーズ」の刊行にあたって」より)

 本書では、社会福祉を巡る法律の種類や構成、また、個々の具体的な行政手法について説明がされています。法律の実務に携わる立場としては、身体障害者福祉法や障害者総合支援法など福祉関係各法律で、法律名や目的規定の変遷が興味深くあります。
 時代の趨勢とともに変化する福祉行政のわかりにくい制度(事業者を含め多様な関与者が存在する)の説明に理解が深まるとともに、分権後の福祉行政の在り方や、自治体職員・行政組織への言及には気づかされる点が少なくありません。
 中でも、ああ、やっぱりそうなんだ、と思ったのは、

 民生委員は、市区町村の区域に置かれるが(3条)、都道府県知事の推薦によって、厚生労働大臣が委嘱するものである(5条)。
 身分は、一般的に、非常勤特別職の都道府県職員(地方公務員法3条3項2号)と解され、実務上、このように取り扱われている。しかし、「市区町村の区域に置かれ」「「厚生労働大臣が委嘱するもの」が、なぜ都道府県職員なのか疑問である。(中略)現代的な整理が必要である。
(131頁)

 自治体の職員に限らず、福祉行政に興味を持たれている方は、お手に取っていただけたらと思います。シリーズの続刊も楽しみです。