自治体法務の備忘録

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「マンガでわかる! 自治体予算のリアル」

マンガでわかる! 自治体予算のリアル

マンガでわかる! 自治体予算のリアル

 本書のタイトルに「リアル」とあります。自治体の職員にとって、財政部門は「怖い」存在である一方で、予算が担う役割については「ちょっとわかりにくいな」と思われることもあるのではないでしょうか。
 本書の執筆者は、本文とマンガともに現役の自治体職員であり、庁内の緊張関係はご存じで、誇張されてはいるもののマンガ部分の記述には「あー、わかる」と登場人物に親近感を持たれるかと思います。
 
 「マンガでわかる!」という構成は、実は難しくて、下手をするとマンガの中の吹き出しにびっしりと説明セリフが並ぶものになりかねません。
 一方で、文章による解説の導入としてマンガが置かれる本書のような形式もありますが、本書の興味深いところは、マンガ部分と本文の「噛み合い」にあります。
 マンガの中で、市長の公約である「子ども医療費の助成」への財源ねん出についてドラマチックな展開がある一方、本文では、想定しうるその効果に比して「際限のない自治体間競争が始まっている」と提示する多面的な視点に、視界を広げられる思いがします。
 
 本書のクライマックス、市の一大イベントである花火大会では、それまでのドラマで緊張関係も生じた登場人物たちが、夜空に広がる大輪の花火を見上げます。
「市民の笑顔が間近だ。人の笑顔が仕事の喜びになるっていうのは、原点だな」
 正直、ちょっとウルっと来ましたよ。
 
 最後に、来年度予算の編成に向けたこの時期、本文の執筆者である定野司さんの文章を引用しましょう。

「要求なきところに査定なし」とは、「事業課の熱意が感じられないようでは、とても予算はつけられませんよ」という財政課の気持ちを表現したものです。それは同時に、「予算をつけると査定したからには、事業課にかわって財政課が、唯一の予算編成権者である首長に掛け合いますよ」という決意の表れでもあるのです。
(156頁)

 さあ、年度も佳境に入ります。