自治体法務の備忘録

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「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」の構成

 第三者から卵子精子の提供を受けた生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を明確にする民法の特例法が4日、衆院本会議で可決、成立した。卵子提供では産んだ女性を母とし、精子提供では夫を父とする。親子関係部分の施行は公布から1年後。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/72394

 12月11日に公布された官報の掲載は、こちら↓
https://kanpou.npb.go.jp/20201211/20201211g00259/20201211g002590004f.html
 法律の背景や内容については議論もあるとことですが、それはさておいて、議員立法としての構成が顕著なので、法制執務にご興味ある方はご確認いただけたらと思います。

目次
第一章総則(第一条・第二条)
第二章生殖補助医療の提供等(第三条−第八条)
第三章生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例(第九条・第十条)
附則

 全10条の決して長くない法律ですが、章立てで構成されています。逆に言えば、章立ては、条数の多さを必ずしも必要としません。
 議員立法の内容は政策的な誘導が主体であることが少なくなく、具体的な規定を控える一方で、少ない条数で広範な対象を含むことから、章立ての構成になることは少なくありません。
 さて、本文ですが、法律の名前に比して「民法の特例」に関する記述は、わずか2条(第3章)しかないのが目を引きます。
 一方で、基本理念や国・医療関係者の責務、必要な国の措置(知識の普及等、相談体制の整備、必要な措置等)は、第2章にまとめて掲載されています。
 前述のとおり、本制度については様々な議論もあることから、わずか2条の「特例」に関し必要な事態が積み上げられているとも言えるでしょうか。
 自治体の方も、議員立法により「知識の普及等、相談体制の整備、必要な措置等」が委ねられた場合は何が行いうるか、シミュレーションしてみても面白いではないでしょうか。