自治体法務の備忘録

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「地方自治論」

 副題の「2つの自立性」とは、「地域社会」と「中央政府」にそれぞれ対する地方政府の自立性をいいます。前者としては、選挙制度や条例、行政組織など、後者としては、地方財政制度などを説明。
また、行政サービスの例として学校教育・子育て行政・高齢者福祉を挙げて、自治体における試行錯誤をすくい上げています。
 財政部門に身を置いた立場としては、「財政規律の維持」「地域間格差の是正」「地方政府の自立性」の3つの制度的理念のうち、最大で2つしか満たすことができないという指摘は興味深く思いました(169頁)。
 記述が幅広いので、興味深いトリビアも豊富です。
 単独で学校を維持することが困難な自治体も出てきた結果、県境に「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小学校・同中学校」という長い名前の学校があるといいます(190頁)。
 引用文献は幅広く、論述も偏りがない。地方自治制度の幅広く確認されたい向きにおススメです。