自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

世界大戦争

世界大戦争 [DVD]

世界大戦争 [DVD]

 戦後の復興が目覚しい一方で、まだまだ戦争の記憶が色濃い時代の芸術祭参加作品である大作。個人的には日本の戦争映画の最高峰だと思う「太平洋の嵐」を撮った松林宗恵監督の作品です。
 ミニチュア撮影は、さすがに今の時代から見ると稚拙な感は拭えませんが、ドラマ部分における役者の達者な演技に圧倒されます。
 開戦が知らされ、世間がパニックにいたる中で、保育園で到着しない親を待つ子供たちの描写や、盛装して最後の晩餐を囲む主演のフランキー堺の一家のやり取りなど見ていて目頭が熱くなるのは私が歳を取ったからでしょうか。
 物語は確かに偶発的な核ミサイルの発射が世界の破滅を引き起こしかねない恐怖が世間を席巻していた時代を描くものですが、本作に込められた平和への想いは、現在でも少しも薄れるべきものではありません。いや、冗談でも皮肉めいた言い方でもなく、戦後生まれの人間が総理大臣を務める現在において、あらためて問われなければいけないものだと思います。