自治体法務の備忘録

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自治紛争処理委員への審査の申出

 ここでは、上記の記事で記載が漏れた、自治紛争処理委員について補足しましょう。
 国からの「指示」に基づく「是正の【要求】」以前に、福島県や東京都はそれぞれ独自に「是正の【勧告】」を行っていいます。
 「是正の【勧告】」については、関与の度合いが低いため、自治紛争処理委員への審査の申立て対象とならないのは前述の拙記事のとおりですが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090213/p1)、「是正の【要求】」については、関与の度合いが高いため、自治紛争処理委員へ審査の申立てが可能です。

地方自治法
(審査及び勧告)
第二百五十一条の三 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する都道府県の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを除く。)に不服があり、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
 一 第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第二項の規定による指示
 二 第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第八項の規定に基づき市町村長に代わつて前号の指示に係る事項を行うこと。
2〜15 (略)

 しかしながら、そもそもが総務大臣からの指示に基づく「是正の【要求】」であり、また、ことに対処する自治紛争処理委員の任命が総務大臣によるものとあれば、国立市の事例のように、申立てを躊躇せざるを得ないのも理解できるところです。
 また、仮に自治紛争処理委員へ審査を申し立てる内容が総務省所管以外の事例であっても、委員の任命に当たっては関係大臣に協議することになっており、公平・中立な委員の任命が担保されません。

自治紛争処理委員)
第二百五十一条 (略)
2 自治紛争処理委員は、三人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事がそれぞれ任命する。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する各大臣又は都道府県の委員会若しくは委員に協議するものとする。
3〜5 (略)

 このあたりも関与の見直しに当たって検討いただきたいところです。