自治体法務の備忘録

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教育行政と法規実務

 ご紹介が遅れましたが、地教行法の逐条解説が改訂されています。

逐条解説 地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第四次新訂

逐条解説 地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第四次新訂

 随分とクラシカルな装丁と思いましたが、改訂前の前書はハードカバー箱入りでしたからね。
 本書は新教育委員会制度に対応していますが、このたびの改正内容の理解には、
Q&A 改正地方教育行政法<平成26年改正>―新教育委員会制度のポイント―

Q&A 改正地方教育行政法<平成26年改正>―新教育委員会制度のポイント―

が必携です。
 新教育委員会制度とは内容が異なりますが、教育現場の法運営に関しては、
新しい学校法務の実践と理論

新しい学校法務の実践と理論

が、実務的で良い内容です。

 法化社会の波は、当然のことながら学校・教育現場にも押し寄せる。保護者たちは、学校で起きた問題について、何らかの法的位置づけを基にして、学校・教員に対して要求を突きつけてくる。ところが、学校・教員の側は、「法的要求」に対する応答としては、きわめて不適格としか見えない行動をとることが少なからずある。その結果、保護者との関係がこじれてくるが、これは学校・教員の側にとって予想外の展開である。
(2頁)

 ただ、関係者の感情を踏まえれば「明確な結論」に達しない方が教育現場における着地点として望ましい場合もある旨が続けて指摘されています。
 言ってみれば、法律による問題解決は、当事者がそれぞれ背負った諸問題が表面的なコンフリクトとして現象化した場合における、合理的な解決手段の一つであるに過ぎません。本書では、これを「弁護士の伝統的思考・行動様式の限界」と分析しています。
 本書は、教育現場から相談をうける弁護士向けに、教育行政に関する法的視点の「翻訳」を試みたものとして評価できるでしょう。

校長が身につけたい経営に生かすリーガルマインド―身近な事例で学ぶ教育法規

校長が身につけたい経営に生かすリーガルマインド―身近な事例で学ぶ教育法規

は、「週刊教育資料」(教育公論社)への連載がまとめられたもの。教育現場における法運営について、エッセイ形式で、読みやすくあります。
 教育行政の話題だけではなく、法律トリビアも散りばめられているので、ご興味ある方は覗いてみてください。