自治体法務の備忘録

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首長の多選禁止

 一部の自治体で動きが見られる首長の多選自粛条例に対して、id:joho_triangleさんが、地方自治法に定められる「住民による知事のリコール権限」の運用の拡大を指摘されていらっしゃいました。

 現実問題として、いかに弊害が認められるようになった知事であれ、住民が「その総数の3分の1以上の者の連署」を集めることは相当に困難だといえます。しかし、この「総数の3分の1」という要件を緩和するとしたらどうでしょう。
 たとえば、多選という定義に該当することとなった知事に対しては、この81条1項に掲げる「3分の1」という要件を「5分の1」なり、「10分の1」なりに緩和するだけで、連署が集まる可能性が格段に高まります。その可能性の高まりは、知事に対して通常以上の緊張感を持たせる効果があるのではないでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20060113/p2

 なるほど。阿部泰隆教授(中央大学)も類似のご指摘をされていたことを思い出します。

 現職の有利さを相殺して、段階的に不利にしていくシステムを提言したい。その方法とは、現職の得票数から2期目は10%くらい減らすことで調整する方法である。3期目に挑戦するときは20%、4期目に挑戦するときは30%削減するのである。その辺から先は、長期政権が当然に有利さ積み上げているとはいえないとすれば、5期目は35%などと、削減率を下げる。こうすれば、対抗馬の方も、チャンスが増えるから、立候補するので、選挙が激しくなろう。

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 joho_triangleさんのご指摘は「住民主体の視点」から目新しく、法の硬直性を論破する手だてとして興味深いところであります。