自治体法務の備忘録

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グッバイ、レーニン!

 公開時の新聞での紹介を読んでから、ずっと気になっていた作品です。

グッバイ、レーニン! [DVD]

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 東ドイツで党活動に熱心だった母親が、意識不明の重体から目を覚ましたのはベルリンの壁の崩壊した後だった。ショックを与えてはいけないという医師の指示に従って、家族は、退院後の母の周りに「小さな東ドイツ」を作ろうと懸命になる…
 物語自体はフィクションであっても、背景に描かれる社会の激動に翻弄された庶民がいたのは事実でしょう。店舗から東ドイツ製品が一掃され、輸入品が席巻したり、旧東ドイツで人々の尊敬を集めた学校長が職を追われて酒浸りになっている様子が、短期間における価値観の変換の結果をまざまざと見せつけます。
 これまでの日本は疑似社会主義国家であった、なんて意地の悪い論調はさておき、社会環境が大きく変化をしようとする現状で、まんざら他人事とも感じられません。
 しかし、なによりこの映画が感動的なのは、そのような社会の変化を越えても結びつこうとする家族の力を描くところです。ユーモラスな描写を経て、物語終盤の、激しく、そして優しく畳みかけていく展開には、心が揺さぶられてなりません。