自治体法務の備忘録

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学校給食費滞納、市が徴収へ…横浜

 tihoujitiさんのブクマ(http://b.hatena.ne.jp/tihoujiti/)経由で

 保護者による学校給食費滞納問題などの改善策として、各校長が給食費を徴収する私会計方式から、市が徴収・管理する公会計方式にする神奈川県横浜市学校給食費の管理に関する条例案が13日、市議会こども青少年・教育委員会で賛成多数で可決された。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20101214-OYT8T00597.htm

 滞納整理の前提として給食費自治体の債権にしなければいけない旨を先日記述しましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20101219/p2)、どういう意味かとのご質問をいただきました。
 行政実例においては、学校給食費は教科書代と同様の性格を持つものと解されるとして(現在では教科書は無償ですが)、地方公共団体の収入とせずに校長限りの責任で管理しても良いと示されています(昭和32年12月18日・昭和33年4月9日付け文部省管理局長回答)。
 一方で、地方公共団体の収入として歳入歳出予算として徴収管理しても差し支えない旨も示されており(昭和39年7月16日付け文部省体育局長回答)、自治体の運用に委ねられている実態があります。
 上記の記事における横浜市の事例は、給食費について、市の歳入歳出予算として管理する旨の公会計として整備することにより、滞納整理に対処しようとするものであるわけです。
 ただし、滞納整理に当たっては、税とは違って、民事債権として民法に従った取扱いをしなければいけません。
 民事債権の放棄にあたっては議会の議決を求めることが自治法上要請されますので、少額かつ大量の民事債権の管理については、また別に政策的な要請と判断が必要となってくる側面があります。