自治体法務の備忘録

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自民党と公務員制度改革

 

自民党と公務員制度改革

自民党と公務員制度改革

 民主党への政権交代前、第1期安倍政権から麻生政権までの間に取り組まれた公務員制度改革について、日本経済新聞の記者による取りまとめ。300頁もの厚さは、読み応えがあります。
 同種の先行書としては、
官僚のレトリック―霞が関改革はなぜ迷走するのか

官僚のレトリック―霞が関改革はなぜ迷走するのか

がありましたが、本書は新聞記者による執筆のためか、クールな印象があります。
 国家公務員制度に関するメリット・デメリットについて論じるだけの知識は私にはないので、制度の課題に踏み込むことは避けますが、地方公務員制度となお密接に関係ある国家公務員制度に関する歴史的な沿革に関する説明は、なかなか興味深かったです。

 労働法学者の菊谷達弥はその成立の経緯から人事院を「戦後の鬼っ子」と表現したが、芦田の後に首相に返り咲いた吉田茂は早くもマッカーサーの離日に合わせた1951年4月9日付の書簡で「占領下で発布された法律政令のうち改廃が望まれるもの」として、地方自治制度や教育委員会と並んで人事院を挙げて訴えた。
(172頁)

なんて記述には、自治体で仕事をする身としては、ドキッとします。ここで地方自治制度に関する吉田首相の発想は、分権型ではなかろうと思うからです。なお、教育委員会については、昭和31年に法改正が行われています。
 皆さまご承知のように、国家公務員に準じて地方公務員給与の削減要請があったばかり。一方でこの時期に、あらためて公務員制度改革が論じられるのは、何かの兆候なのでしょうか。