千葉県に290万賠償命令 児童養護施設内の虐待
千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」の元入所者11人が、長年にわたる元園長(71)らの虐待で精神的苦痛を受けたとして、施設を認可した県などに計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は20日、うち7人に計約290万円を支払うよう県に命じた。
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2007122001000448_National.html
以前にご照会した、今年1月の最高裁判決を踏襲した判決です。
田中孝男先生がご掲載の記事から
【最高裁平成19年1月25日第一小法廷判決】
上記のように、公権力の行使であると認定されることにより、元園長本人に対する賠償責任は否定されてしまいます。
国家賠償法に基づく公権力の行使による損害に関する責任を一義的に行政庁が負うことについては、何よりも被害者に対する救済を手厚くする法の意図であるのですが、次の記事の被害者の叫びは心に突き刺さります。
【原告「負けに等しい」 「恩寵園」損害賠償訴訟】
「園長に謝ってもらえないと、怒りが収まらない」――。船橋市薬円台の児童養護施設「恩寵園」で園児が長年にわたり虐待を受けていた事件に絡む民事訴訟で20日、千葉地裁が県に賠償を命じたことを受け、原告側の元園児らが千葉市内で記者会見を開き、虐待の事実を認定する一方で元園長の賠償責任を認めなかった判決に憤りをあらわにした。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20071221-OYT8T00037.htm
養護施設という家庭に代わる逃げ場の無い中での虐待が許さされる筈がありません。
しかしながら、原告が求めたのは、行政救済の概念に基づく「弁済」ではなく、人間としての根元的な関わり合いに係る「納得」であったわけです。
関係者の責任ばかりか法の構成の是非についてをも問われているような気がしてなりません。