自治体法務の備忘録

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Re:応募者なし

 成田市が募集を開始した運動公園のネーミングライツに対する応募がない旨の報道(http://mainichi.jp/area/chiba/news/20081108ddlk12010140000c.html)について、tihoujitiさんが掲載されていました。

 ネーミングライツを得る価値がある施設であるか否かという基準は、景気も大きな要素でしょうが、やはりその施設の位置づけであろうと思われます。
 つまり、施設が、どのように、どれだけ用いられるか、ではないかと。
 やはり、利用者数の多さは当然のことながら、プロ野球やJリーグなどのホームグラウンドであることや、なんらか競技の国際大会の場であることなど、メディアへの露出度などもかなり関係するのでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20081108/p2

 ご指摘のとおりだと思います。こんなところにも地域間格差はありそうだな。
 さて、ネーミングライツの先行事例として世間の耳目を集めた横浜市の取組みがまとめられものとして以下の書籍があります。

財源は自ら稼ぐ!―横浜市広告事業のチャレンジ

財源は自ら稼ぐ!―横浜市広告事業のチャレンジ

 広告事業の実施に当たり、お付き合いでお願いできるだろうと企業を回ったところ、事業の実施が企業側にとってどの程度メリットがあるのかを問われ、返答に窮した旨のご経験の記述がとても興味深いものでした。公権力の行為主体としてではなく事業(ビジネス)の実施主体として対等の立場で「営業」を実施するに際して、役所の説明能力の乏しさが図らずも現れてしまったということでしょうか。
 もちろん、上記の失敗を踏まえた上での事業の積極的な展開が同書で読み応えのある部分ですので、ご興味を持たれた方はお手に取っていただけたらと思います。
 営利企業にとって、施設のネーミングライツのメリットが認められなければ、募集に応じがたいのは想像に難くありません。
 とはいえ、逆に言えば、だからこそ、自治体において、施設の潜在的な存在価値を発揮する運用が要請されている事態でもあると言えるのではないでしょうか。