自治体法務の備忘録

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資本の世界史

資本の世界史 (atプラス叢書12)

資本の世界史 (atプラス叢書12)

 こちらは、資本に関しての歴史。著者はジャーナリストなので、読みやすい文章です。
 「お金」とは、硬貨や紙幣ではなく「信用」であるとの説明から、古代から「信用貸し」としての資本が存在したと説明を始めます。
 では、近代においてかくも資本が発展した産業革命とは何であったか。また、それはなぜイギリスで起きたのか。著者は、紡績事業における賃金が上昇したことにより、技術革新が求められたことが原因と説明します。また、それをフランスやドイツなどの周辺国がどのように追いかけたかも。
 記述の内容は、ニクソンショックから近年のリーマンショックまで解きほぐします。著者はドイツ人であるため、アメリカの金融政策についての分析は冷静で、また、あまり目にすることのないドイツにおける金融政策の説明も興味深いものです(EUの危機について、「内側」からの検証もあります)。
 著者は資本における「信用の創造」を単純に否定しません。実際、それが私たちの生活を豊かにしたことは確かであるからです。
 ただ、近年における過剰なまでの資本の膨張に著者は警鐘を鳴らします。全編にわたって興味深く読むことができました。こちらもおススメです。