自治体法務の備忘録

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迷惑施設の対処

【自宅の隣が突然、葬儀場になると・・・】
 Aさんは、ある方法に出る。「葬儀中に直談判に行けば弔問客の目もある、向こうとて何らかの動きをとるしかなくなる」と、弔問客が集まる場に単身乗り込み騒ぎ立てた。当然外に連れ出され営業妨害だと職員から罵られたが、Aさんは二度、三度と同じ事を繰り返す。その後、第三者を交えた話し合いの結果、民事訴訟などをせずに、「業者がAさん宅を買い取る」という合意に至り、新築して1年しか経たない自宅からAさんは引っ越していくことになった。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1523226/detail

 いやまあ無茶な話ですが、記事によるとそもそも葬儀場の方もだまし討ちであったようで。
 さて、上記のような事例の対処について、行政においては条例を作成するにしても、結局のところ、双方間の調整についてルール作りをするにとどまる。周辺住民の同意事項を条例で義務付けることは財産権の侵害と理解されるところでありますが、そもそも、そのような規定の問題点は、法の規定に基づき住民から信託された「行政権」の放棄であることでしょう。私法に対する公法の性格の基本的な理解であると思います。
 条例における同意の義務付けの事例って意外と多いのですが、行政指導の根拠としての「要綱」の内容がそのまま「条例」化された経緯でしょうか。
 なお、蛇足ながら加えると、同種の規定を「要綱」にとどめても、そのことを理由に不利益処分を行う限りは行政手続法(行政手続条例)において妥当でないことはいうまでもありません。