自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

ベンチマークと「先例」

 さて、優れた作品を追随して後世に作曲が行われることは否定されるべくもありませんが、劇中における状況描写を依頼するにあたって特定の楽曲が指定されることは、法制執務にておいて先行事例を「ベンチマーク」として設定とすることに類似していないか(いません
 町山氏は、ジョーズがオリジナル曲としてアカデミー賞を受賞したことを皮肉めいて指摘していますが、幸いにも、法令・例規には、著作権が認められていません。
 冗談はさておき、法令や例規の策定にあたっては、何より「先例」が踏襲されます。これはお役人の「事なかれ主義」では全然無くて、「解釈」されるべきものとして定められる「法」においては、何より積み上げられた論議を尊重すべき側面があることによります。拙blogでも、法における「両罰規定」の記述の方法についてご紹介させていただいたことがありました。
【立法における前例踏襲の意味】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20071105/p2
 自治体の法務でも他の自治体の先例を頼りにするのは、立法事実や解釈について一定の検討がなされている前提に期待があることによります。
 もちろん、自治体ごとに地域的状況は異なりますし、先例における解釈水準も様々でありましょうから、その期待に全面的に寄りかかることなく、設定した「ベンチマーク」を突破すべく十分な検討が必要になってくるわけです。
 上記のプロセスが踏まれるものであれば、後続自治体は、先行自治体にとってのフリーライダーになりません。
 私自身、当市の例規についてお電話で照会をいただくこともあるのですが、当市の事例を評価するにせよ、否定するにせよ、少しでも良いものをご検討いただければ、とは日頃思っております。
 ずんじゃんずんじゃんずんじゃん、ざぱー(ジョーズの出現音
 きゃー