「グローカル」の意味
自治関係の雑誌名にも使われている「グローカル」の語について、著名な経済学者である浜矩子教授(同志社大学)が近著で気になる記述をされていました。
世に「グローカル」という言葉がある。「グローバル」と「ローカル」という用語をくっつけた造語であるこの言葉の一般的・通念的な解釈は、「think global,act local」というものだ。「発想はグローバル、行動はローカル」というわけだ。(後略)
(前略)だが、よく考えれば、どうもこれは違うと思う。発想が転倒している。(中略)正しくは、think local,act globalなのだと思うのである。(中略)今の時代状況の中で、お仕着せのグローバル。スタンダードに追随するところに活路ありと考えるのは、やはり少々敗北主義的だと思う。
(164頁)
- 作者: 浜矩子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/01/20
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
ここでは従来のドルのような基軸通貨が、これからの世界市場には存在が難しいであろうことを指摘した上で、日本の経済進行システムの転換の必要性について述べられているのですが、「集権的管理」から「協調的分権」へと提案されるそれは、現在の行政を取り巻く状況にも当てはまるように思われます。
管理と協調はどう違うのか。答えは概して簡単だ。管理には強制が伴う。協調は自主性がもたらすものだ。(中略)分権という言葉の中には、おのずと自立の意味が込められている。自立的に動く力を内包した地域共同体が、その中においても、外に対しても協調の心意気をもって臨む。(中略)そのような運行方針を共有することができるようになれば、まさしく、円高恐るるに足らずの世界を構築できるのではないかと思うのである。
(149頁)