自治体法務の備忘録

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インターネットで公布を行う可否について

 遅レスなんですが、bottomさんがご照会された岩手県の県報の印刷発行廃止について

まあ、紙で発行していたからといっても公報を見ている人なんてごく一部ですから、デジタル化したって良いじゃないかという話なんでしょうが、デジタルディバイドが解消されていない現状では、ちょっと先走りすぎなんじゃないかと思ってしまいます。
http://bottom.at.webry.info/200602/article_12.html

 このことについては、社会のコンセンサスの問題であると思うところ、やはり、ご指摘のように先走りの感があることは否めないような気はいたします。参考までに以下の記事

 公告式条例では、一般的には、「条例の公布は、市広報に登載してこれを行う。」と規定されており、広報によって、広く周知される方法がとられている。この場合、住民の利便性向上と業務効率化の観点から、公告式条例の規定を改正して、条例の公布をインターネットの市のホームページに公示するのであれば、公告式条例に基づく、条例公布の手続法法である以上、直ちに違法となることはないが、広く住民一般に周知される方法という点では、法の趣旨からも不適当と考えられる。
 IT社会となり、各家庭におけるパソコンの普及が一般的になってきても、全ての市民がパソコンを利用しているとは考えられず、また、インターネットへの接続等その導入費用等を含めて考えると、結果として、条例公布の状況を知りうる状態が、一部の市民に限定されてしまうおそれが強い。特に、条例、規則を一般住民の知り得る状態におくという法の趣旨が、条例公布の手続法法により阻害されることは、適切な公布の方法とはいい難いものである。
加除式図書「Q&A実務地方自治法 行政・財務」(ぎょうせい)323ページ