自治体法務の備忘録

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自治体法務合同研究会in YOKOSUKA

 「第12回 自治体法務合同研究会 横須賀大会」に行ってきました。出石稔さんのサイトでご紹介されていらっしゃる大会の概要はこちら→http://members2.jcom.home.ne.jp/izu1002/b_topi1.html
 とはいえ、私は残念ながらいずれの法務研究会にも属する身ではないので、第1日目の公開シンポジウム「自治を究める!-政策法務という戦略-」のみを拝聴。
 構成は、成田頼明名誉教授(横浜国立大学)の基調講演「自治立法の変遷と展望-思い出すままに-」とそうそうたる皆様がご参加のパネルディスカッション(山口道昭教授(立正大学)磯崎初仁教授(中央大学)鈴木庸夫教授(千葉大学法科大学院)木佐茂男教授(九州大学大学院法学研究院)松本昭氏(国分寺市役所)津軽石昭彦氏(岩手県庁))
 これが奥様、参加費無料で一般にも公開ですよ。木佐先生も発言されていらっしゃいましたが、もっと参加者があってもよかったと思います。マータイさんだったら「MOTTAINAI!」と言うね。
 さて、成田先生のお話は、敗戦後から高度成長期を経て分権改革に至るまでの自治立法の概論に具体的な事例を挙げられるので誠に迫力があって楽しい。あらためて感じるのは、私たちが日常の法制執務において構成している条例論が、先達の努力によって勝ち得たものであるという事実。ならば、私たちが所与のものとして現状に安寧してよいものか、と力づけられる思い。
 パネルディスカッションでは、参加者のそれぞれの立場からの発言で自治体法務をめぐる現状の課題が浮かび上がって来て誠に興味深い。
 ただ、気になったのが、「自治体の現場で政策法務ブームは去ってしまったのではないか」というご発言でして、多くの自治体で市町村合併の対処から政策法務の実践が後回しになっているのではないかとの指摘でしたが、実務担当者にとっては、住民基本台帳の閲覧や指定管理者制度障害者自立支援法の取扱いなど、自治体自体が切り開いている法務の現場があり、「『○○条例』作りましたっ!」というはなばなしい状況は少ないにせよ、自治体法務は、その実践において充実してきているのではなかろうか。
 また、実務担当者でいらっしゃる参加者の「条例制定の発意を明白にするシステマチックな仕組みづくりを構築すべきではないか」「住民参加型の条例づくりのノウハウを蓄積すべきではないか」という指摘にはうなづくとともに、現状においては実務担当者と研究者の隔絶を感じないでもない。私見を述べれば、それは現状においては自治体の現場で構築される理論であると考えるものの、将来的には立法学として考察が深まるべき分野ではなかろうか。
 一方で、木佐先生の「日本独自の職業議員制度を前提とした議会改革議論には限界があるのではないか」という指摘には脳みそが揺さぶられる思い。「じゃあ、どうすれば」と泣きが入るのが実務担当者なのですがw
 ほかにも書ききれないくらい勉強になった一日でした(^^*1

*1:関係者の皆様、部外者が首を突っ込んで勝手なこと言ってすいません。